kumonokuniの日記

腐女子まっしぐらなブロクです。はまりにはまっている小説の二次小説およびオリジナルの小説ならぬ戯言を書き連ねてまいります_φ( ̄ー ̄ )

《図書館戦争SS》全国図書隊防衛部合同演習大会8

柴崎が郁の結果をみて満足そうに微笑んでいる。
傍から見たらなんてことのない何時もの微笑みなのだが…、そばにいる堂上と小牧にとっては背中に何かがいるように感じる魔女の微笑みにしか見えなかった。
郁と手塚に至っては、柴崎の魔女の微笑みにひく、上官2人の引きつった表情の方が怖いと感じたのだが…。

「今回のデータを基に、出場種目を決定します。その上で、上位に食い込むために訓練メニューを組みます。」
訓練後に堂上が発表した。
「では解散。」
緒形の号令により隊員達は更衣室に向かった。
「堂上班と柴崎は、着替え終了後会議室集合。今後の調整をする。」
緒形が5人に声をかけた。
5人は敬礼で答えると、更衣室に向かい歩き始めた。
「私、一度デスクに戻ってノートPC取ってきます。」
柴崎は堂上に声をかけると、一人別方向へ歩いていった。
更衣室の前で堂上らと、郁は別れた。
「笠原、30分後に会議室で。副隊長にどこ使えるか確認してLINEしてくれ。」
堂上が郁に声をかけると、郁は「了解しました。」と、更衣室に入っていった。
「あっちは一人だもんね。俺らよりは早いだろうね。」
小牧が言うと、堂上が頷いた。
特殊部隊の女子更衣室の使用は郁一人だ。
希に、囮捜査の着替えに柴崎が使う以外で使う人間はいない。
それに比べて、男子更衣室は残りの隊員達でいつもごった返しているのだ。
大抵、同じタイミングで訓練を行うのは3~4班なのだが、それだとしても恰幅のいい男衆が引目気あっているのだ。
シャワーの順番待ちも大変なことなのだ。

郁は着替えを終えると、事務所に戻った。
そのまま、席につかず緒形のもとへ進んだ。
「副隊長、どこの会議室が空いてますか?」
「第3を押さえた。あそこなら全て揃ってるだろ。」
「そうですね。プリンターだけないのが残念なんですけどね。」
郁が苦笑いしながら答えた。
郁は書類を紙で保存したい派の人間なのだ。
近頃は、エコだ、省エネだといって、書類を印刷しないことが多くなっているのだ。
特殊部隊の面々には、1人1台のノートPCが貸与されており、会議の議事録等は全てPC内にバックアップされているのだ。
しかしながら、例外はいるようで、玄田だけは資料を印刷し、手元においているのだ。
「お前も隊長と同じようアナログ人間だったな。」
緒形は郁の言いたいことを察し、苦笑しながら言った。
「いや、紙が好きなだけですよ。最近は本も電子化が進んでたりしますしね。

郁が苦笑いしながら首を竦めた。
「柴崎がパソコン持参するって言ってたな。」
「はい。たぶん、資料を作りながら打ち合わせするんじゃないんですか。あいつのことだから容易くやりそうですし。」
郁が答えると、「だろうな。」と、緒形が納得した。
郁は自席に戻り、堂上と、柴崎にLINEで会議室の件を連絡した。
そして、郁は手帳とノートを手にすると、緒形に声をかけた。
「第3の鍵って…。」
「借りてある。」
緒形は郁に鍵を手渡すと、資料を持って立ち上がった。
「先に行っててくれ。隊長にこれ渡してから俺も行くから。」
「了解しました。」
郁は鍵を預かるとその足で会議室に向かった。